【解説】ガンプラのパチ組みとは?
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ガンプラには「パチ組み」と呼ばれる組み方があります。パーツの組み立てに接着剤が不要で、そのままパチパチ組んでいくだけで完成できるガンプラならではの用語です。一方、「素組み」という言葉も、説明書どおりに組み立てただけの改造を施さない組み方の意味で使われています。
パチ組みと素組みは具体的にどう違うのでしょうか。そして、パチ組みであれ素組みであれ、初心者がガンプラをきれいに組み立てるにはどうすればよいのでしょうか。
パチ組みと素組みの違い
結論から述べると、パチ組みと素組みの違いに厳密な定義はないようです。
今のガンプラは接着剤なしでパチパチ組み立てるだけで、クオリティーの高い仕上がりになります。この仕組みをスナップショットというのですが、この機能が登場する以前は、ガンプラも接着剤を使って組み立てる必要がありました。
したがって、素組みというと、当初は塗装も改造せずに説明書どおりに組み立てたプラモデルのことを指しました。ガンプラだけでなく他の種類のプラモデルも同様です。ただ、いつのころからか、無改造で説明書どおりに組み立てたものなら、塗装したものも素組みと呼ばれるようになります。
それに対して、塗装せずにただ組み立てただけのものを、上記の素組みと区別してパチ組みと呼ぶようになりました。
以上をまとめると、塗装も改造もなしで説明書どおりに作ったものが「パチ組み」、パチ組みしたものに塗装を施したものが「素組み」ということになります。実際、このように呼び方を区別しているのが一部のプラモデル誌でも確認可能です。
しかし、先にも述べたように、厳密な定義は存在しません。単なる言い方の違いとして、素組みとパチ組みを区別せずに使っている人も大勢います。いずれにせよ、改造しないという点では共通していますが、ガンプラ初心者がその違いにこだわる必要はあまりないでしょう。
ガンプラのパチ組み1. ニッパーでパーツをゲートから切り出す
ここでは素組みを塗装済みのもの、パチ組みを塗装せずただ説明書どおり作っただけのものとして、初心者でも簡単にできるガンプラのパチ組みのやり方を見ていきましょう。
パチ組みであろうとなかろうと、まずやるべきことはランナーからパーツを切り出すことです。ガンプラの場合、手で切り離すこともできますが、パチ組みとはいえなるべくクオリティー高く仕上げたいですので、できればニッパーを使って切り離すことをおすすめします。
また、ニッパーの種類も多種多様ですが、一般的な工具ではなく、タミヤなど模型メーカーの発売するプラモデル専用ニッパーを選ぶとよいでしょう。やはりプラモデル専用の方が、プラモデルのパーツを切る際の切れ味が良いからです。
説明書を見ながらプラモデル専用ニッパーでパーツを切り離していきますが、その際、刃を入れる方向に注意してください。ゲートには長短がありますが、短い方に刃を入れると、プラスチックに大きな負荷がかかって白化現象を起こしてしまいます。なるべく辺の長い方に刃を入れるようにすると、切断部分にかかる負荷が小さくなるため、きれいな断面になりやすいです。
ニッパーの刃が入りにくい場合は、デザインナイフでカットするとよりきれいになります。初心者の場合、最初から上手にデザインナイフを扱えないかもしれません。しかし、何度かやっていくうちに自然と慣れてくるものですので、まずは数をこなすことを考えましょう。ただ、安全のため、刃の方向に手を置かないことだけは注意してください。
ガンプラのパチ組み2. ヤスリを使ってパーツのゲート跡を処理する
ニッパーできれいに切断しても、パーツの切断面には若干目立つ切り口が残ります。これを「ゲート跡」と言いますが、パチ組みとはいえなるべく処理しておいた方がよいです。ゲート跡はヤスリで磨くときれいになります。
ヤスリにもいろんな種類がありますが、ゲート跡の処理なら紙ヤスリが便利です。「ゴッドハンド」の発売する「神ヤス!」という製品が、プラモデル用の紙ヤスリとして評価が高く、多くのモデラーに重宝されています。異なる番手を組み合わせたセット品もあるので、600番、800番、1000番あたりをそろえておくと、その後のプラモデル作りにも便利でしょう。
ガンプラのパチ組み3. パーティングラインを処理する
パーティングラインとは、プラモデルのパーツの中心に境目のように入っているラインのことです。これは、プラモデルの成形の際に生じる金型の合わせ目なので、どんなプラモデルにも存在しています。そのままでも気になるほどではありませんが、クオリティーにこだわるならここも処理しておくとよいでしょう。
パーティングラインの処理の仕方ですが、ナイフで大まかに削り、処理しきれない部分をヤスリで磨くという手順です。
ナイフはデザインナイフを使います。カンナがけのような感じで、刃をパーツに垂直に当て、スライドさせながらパーツ表面の薄皮を剥ぐように薄く薄く削っていきましょう。刃に角度をつけると、刃がパーツに食い込んでしまうので注意してください。
刃を垂直に当てて、スーッと横に滑らすような感じで動かすと、パーツの表面だけが削れてプラスチックの薄い削りかすが出ます。その調子で切り離した各パーツのパーティングラインを消していきましょう。
デザインナイフによるカンナがけだけでは、パーティングラインがきれいに処理し切れないこともあります。その場合は、ヤスリでさらに磨いてください。パーティングラインのサイズによって適切なヤスリの番手は違いますが、400~800番ぐらいの番手になるはずです。ヤスリで磨いてもなお跡が気になる場合は、コンパウンドで仕上げを行うと光沢の出るきれいな仕上がりになります。
ガンプラのパチ組み4. 付属のシールを貼る
ガンプラのパーツは最初から着色されていますが、成形時に色分けできない細かい部分は付属のシールによって対応しています。シールを貼る場所は説明書に記載されているので確認してください。
なお、シールを貼る際は、手で直接貼るよりもピンセットを使う方が作業しやすいです。器用な人なら手できれいに貼れますが、シールの接着面に指が触れて皮脂がついてしまうこともあります。ですので、なるべく素手で触らない方がよいでしょう。ピンセットなら小さいシールでも指よりつまみやすいですし、貼り付ける場所にぴったり合わせやすいのでおすすめです。
シールをパーツに貼り付ける際は、いきなりベタッと貼ってしまうのではなく、まずシールを貼るべき位置に正確に合わせてそっと置くようにします。位置が決まったらシールの中央から貼っていくとよいでしょう。端から貼っていくと、シールの真ん中が浮いてしまうことがあるからです。
パーツの凹凸によっては、ピンセットで押さえるだけではシールがしっかり接着できない場合があります。そういう時は綿棒を使うのがおすすめです。綿棒でシールを押し付けるような感じで、凹凸に合わせて力を入れていくときっちり接着できます。
まとめ
以上でパチ組みによるガンプラの完成です。塗装なしのただのパチ組みでもこれだけ丁寧に作業すると、かなりクオリティーの高い仕上がりになります。いくつかパチ組みで作ってみて、それで満足できなくなったら、今度は塗装に挑戦してみましょう。塗装した時のクオリティーも、パチ組みで培った技術と経験がきっと役に立つはずです。