【保存版】湿度の高い日はプラモデルの塗装を避けるべき?
この記事の目次
プラモデル作りにおいて、塗装に適した環境を確保することは非常に大切です。ただ、外部要因によっても大きな影響を被ってしまいます。
特に塗装にとって大敵なのが湿度です。
四季のある日本では季節ごとに温度や湿度がかなり違いますが、では、プラモデルを塗装する際はどのような点に注意すればよいのでしょうか。
湿度の高い日にプラモデルの塗装を避けた方がよい理由
湿度の高い日にはなるべくプラモデルの塗装をやらない方がよいと言われます。
その理由は、空気中に含まれる水分の量。
空気中にたくさんの水分がある状態の時ほど、スプレーによって噴射される塗料に、その水分が混じりやすくなります。そして、水分の混じった塗料がプラモの表面に張り付いてしまうわけです。
その結果、ラッカー系の塗料だと、気化の早いシンナーと比べて、乾燥に時間のかかる水分だけが塗装表面に残ってしまいます。
その水分の残った跡が白く濁ったように見えることから、この現象は「白化現象」と呼ばれるのです。
エアブラシ塗装の場合、吹き付ける塗料の中にどうしても多少の水分が混じります。
湿度が高いほど塗料に混じる水分が多くなるわけで、その結果、乾燥した時にますます白く濁りやすいのです。
加えて、エアブラシ塗装ではコンプレッサーとハンドピースという機械を使います。
コンプレッサーは吸い込んだ空気を内部で圧縮し、高い圧力をかけた状態で送り出します。
それをハンドピースが勢いよく噴出するという仕組みです。
空気を圧縮する時には、その圧縮された空気中の水分が水蒸気となって発生します。
それがコンプレッサー内部に溜まってしまうのです。
しかし、ラッカー系の塗料は水と混じり合わないため、ハンドピースから噴出される際、塗料とは別にその水分も直接プラモデルの表面に吹き付けることになってしまいます。
水の方がラッカー塗料より乾くのが遅いため、その跡がパーツ表面に残ったり、まだら模様になったりと汚くなってしまうのです。こうした現象を「かぶり」などと言います。
いずれにせよ、湿度が高いほど水分のせいで塗装がうまくできなくなるため、雨の日などは避けた方がよいでしょう。
プラモデルの塗装に適さない湿度とは
では、具体的に湿度が何%以上の時に、プラモデルの塗装を避けるべきなのでしょうか。
これは季節によっても違うのですが、空気が乾燥しやすい季節であっても80%以上ある時は避けた方がよいでしょう。
梅雨のシーズンなどただでさえ湿度が高い時は、ちょっとした気候の変化で影響を受けるので、60%以上あっても避けた方が無難です。
湿度が高い時は、塗料の希釈を調整していつもより薄い濃度で塗装するという方法もあります。
しかし、その調整具合が感覚的にわかるようになるまでには経験が必要です。
また、お住まいの地方や環境によっても多少変わってきます。
塗装をやり直すのは非常に面倒ですので、万全を期すのであれば塗装は快晴の日のみ行うのがよいでしょう。
湿度が高い時にプラモデルを塗装したい場合は
以上のように、塗装の失敗を防ぐのなら、湿度が高い時にやるべきではありません。
しかし、仕事などの忙しい日常のなかで、なんとか時間を作ってプラモデル作りを楽しんでいる方も少なくないはずです。
晴れの日じゃないと塗装できないというのでは、つまらないのではないでしょうか。
実際、プラモデラーのなかには湿度の高い日でも工夫して塗装に挑戦する人たちがいます。
では、どんな工夫をすることで湿度の高い時でも失敗せずに塗装できるのでしょうか。
一つは、塗面をできるだけ薄くする方法です。濃度の高い塗料を一気に吹き付けると、パーツ表面に塗料が溜まってしまいます。
その溜まりの中に水分が含まれてしまうため、乾燥した時に白く濁ったりムラができたりしてしまうわけです。
そこで、経験豊富なモデラーは、塗料の溜まりができないように、薄く薄く塗面を重ねながら塗装していきます。
こうすることで、塗料の中に混じる水分量を極力少なくするわけです。
また、塗料と水分の乾燥スピードが乖離しすぎないようにという工夫もあります。
具体的には、速乾性のシンナーを使用しないということです。
速乾性のシンナーは便利ですが、湿度の高い時に使用すると、パーツ表面に付着した水分の蒸発スピードとの差から水分だけが残ってしまいます。
逆に、乾燥に時間がかかるシンナーを使えば、パーツ表面に残る水分を抑えることができる理屈です。
あと、できる工夫といえば、コンプレッサーの水抜きを高性能のものに交換することです。
コンプレッサーで空気を圧縮する際、水蒸気の発生は避けられません。
そこで、圧縮の過程で発生した水蒸気をハンドピースからそのまま噴出させないように、その手前に水抜きやレギュレーターと呼ばれる部品があります。
性能の良い水抜きに交換することによって除去できる水分の量も多くなるので、高い湿度による白化現象をいくぶんかは防ぐことができるでしょう。
もっとも、80%以上など非常に湿度が高い日には、水分を完全に除去することは難しいです。
プラモデルの塗装は湿度が低すぎる日も注意
プラモデルの塗装において湿度に注意が必要と言うと、湿度の高さばかりに目が行ってしまいます。
実は、湿度が低すぎる日にも注意が必要です。
まず、湿度が低いほど空気中に埃が舞いやすく、それが塗装時に混じってパーツの塗装面を汚してしまいます。
また、湿度が低いほどデカールも速く乾燥するため、パーツに貼り付ける前に乾燥してしまったりという弊害にも注意です。
湿度が45%を下回るようだと注意した方がよいでしょう。湿度30%台になるとかなり作業に影響が出ます。
あまりに湿度が低い時は、加湿器を使用して50%以上に上げた方がよいぐらいです。
多少湿度が高いぐらいなら、最近の高性能の塗料では目立つかぶりは見られません。
80%以上になると危険ですが、それ以下なら問題ないでしょう。したがって、湿度は50%~80%の範囲になるように調整することをおすすめします。
エアブラシ塗装の湿度対策アイテム
コンプレッサーのレギュレーターは先に説明したとおりですが、それ以外にもエアブラシ塗装において湿度対策としてあると便利なアイテムがいくつかあります。
たとえば、ハンドピースに届く前に水分をストップするドレンです。
また、埃をストップするダストキャッチャーもあります。塗装面に余計な水分や埃が混じるのを防ぐのに効果が高いです。
また、エアブラシでの塗装中に水分がどのぐらい溜まっているのか確認できるスパイラルホースというアイテムもあります。
ホースが伸縮するため、作業中に邪魔になることもありません。
雨の日はなるべく塗装を避けたいところですが、他に時間がないのなら、部屋を閉め切ってエアコンを除湿運転させながら、パーツの乾燥に乾燥機を使うのも一つの手です。
ただし、シンナーの影響を考えると、閉め切って作業する時間には限度があります。
なお、プラモデル専用の乾燥機ではなく、食器乾燥機を応用している人も多数です。
比較的安価なので検討してもよいでしょう。
まとめ
雨の日など湿度の高い日は、白化現象やかぶりが生じやすいため、なるべくならプラモデルの塗装は避けた方が無難です。
ある程度経験がある人なら勘で調整できますが、初心者には難しいでしょう。
塗装は湿度80%以下の時に行ってください。なお、湿度の確認のために、プラモデルの制作部屋に湿度計があると便利です。